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自己心膜による大動脈弁形成術の新生児手術の成功について

2007 年 10 月 12 日

自己心膜による大動脈弁形成術の新生児手術の成功を公表しました。

岩手医大附属循環器医療センターは 12 日、心臓の弁が正常に機能しなくなる大動脈弁閉鎖不全症のため、一時心肺停止状態になった生後 12 日の男児に、本人の心臓を包んでいる薄い膜(心膜)で弁を形成し、取り付ける手術に国内で初めて成功したと発表した。同じ病気を抱える新生児への治療法として、大きな前進といえそうだ。   男児は3月に沿岸部で生まれ、直後に大動脈弁閉鎖不全兼狭窄(きょうさく)と、心室の間に穴が開く筋性心室中隔欠損と診断された。生後7日後にショック状態となり、9日で同センターに搬送したが、途中で心停止して心肺蘇生を行った。回復を待ち、12日目に手術を行った。   手術は5時間半にわたり、心臓血管外科の猪飼秋夫講師が執刀した。男児の心臓の大動脈弁を取り除き、心膜を弁の形に整えて縫い付けた。   欧米では、成人患者に対して自分の心膜を使った手術が行われているが、国内では人工弁の耐久性が高いため、人工弁を使う手術が一般的だという。しかし、子ども用の小さいサイズの人工弁はないことから、心膜を使った。   男児は術後の経過もよく、近く退院するという。今後は弁が適切に機能しているか経過を見守り、成長に応じて必要があれば人工弁に付け替える再手術をするという。   同センターによると、新生児の大動脈弁閉鎖不全症は大変珍しい。大動脈弁が正常に閉じないと、左室に大動脈の血液が大量に流れ込んで大きくなり、やがて心不全などを起こすという。男児も手術時、心臓が1・5倍程度に肥大していた。   盛岡市中央通1丁目の同センターで記者会見した猪飼講師は「適切な初期治療や搬送、術前診断など、多くの人のおかげで成功することができた。心膜による弁は長くはもたないが、放置しておけば生命の危険があった。将来、人工弁を使った手術ができるチャンスをつくることができた」と話した。   静岡県立こども病院の坂本喜三郎・副院長兼循環器センター長(心臓血管外科)は「生まれたばかりの子どもの大動脈弁は小さく、手術は困難で、成功したことは大変意義がある。今後の治療の可能性が広がってくるだろう」としている。 ( 文章は岩手日報より抜粋 )

手術の様子をムービーでご覧いただけます。

心拍動下冠動脈バイパス術(3.59MB)

僧帽弁形成術(11.0MB)

大動脈弁置換術(11.1MB)

大動脈弁形成術(20.0MB)

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